夜が過ぎるのをずっとうつらうつらして待っていた。今日も全然眠れない。
深夜2時に思い立って今の気持ちを手帳に書き綴る(それがこのレポの原型である)。だんだん部屋が明るくなる。産後の体はバキバキで、痛いところを探すまでもなく全身がダル重い。
唐突ながら私はこれまで快便人生を歩んできた。
便秘とは無縁の体質だったのに、股を縫われて以来、便をするのが怖い。裂けそうでできない。というか股が痛すぎて力めない。昨夜のうちに看護師に打ち明けたら、すぐに下剤をもらえた。しかし問題はそこではない。まだ歩行OKが出ていないため、個室とはいえトイレに行くにはナースコールで人を呼び、カテーテルに繋がった尿の入ったビニール袋をぶら下げながら一緒にトイレに向かい、終わったらまたナースコールで呼び出してベッドに戻らなければならない。この“付き添いトイレ”というシステムが嫌すぎる。羞恥と緊張で初回のトイレは失敗に終わった。
だが、今日の私は諦められない。
朝8時には女医の触診があるのだ。膣に指を入れたら尻から出てきましたといった最悪の事態が起こるかもしれない。私は焦った。焦った結果、しれっと言いつけを無視してヨタヨタと一人でトイレへ向かい、スマホを眺めながら意識を遠ざける作戦を決行。結果、なんとか3日分の便を出し切った。危ねえ!一人でトイレに行けたことを事後報告したところ、あっさり尿管を抜いてトイレデビューを公認頂けた。さらに点滴も外れた。管生活ベッド固定からの解放である。おめでとう私!
子宮の収縮も順調で、貧血以外は超健康体。だが、その貧血問題を誰よりも重く受け止めていたのが、義理の母と二人生活を送るかもしれないという恐怖をもった夫である。夫の差し入れは本気であった。500mlの飲み物を1日6本。他にもグミ、じゃがりこ、パン、お菓子…机の上が毎日食品で埋め尽くされる。看護師が部屋に来るたびに驚いているが、夫の「絶対予定日に退院してくれ」という強い願いが伝わってくる。掃除のおばさんには悪いが備え付けのゴミ箱のキャパを超えて毎日ゴミが溢れかえる。私はとにかく貧血解消のために食べることに必至だった。病院から出る妊婦向けの食事も母乳生成のため栄養満点&ボリュームたっぷり。こんな食事、毎日食べたい。一人黙々とテレビを見ながら食べていると、毎回脈拍が120まで上昇し、倒れていないか看護師が様子を見に来てくれた。ただ食べるだけで走った後さながらの動悸になるのが怖い。
午後から初めての母子同室。
赤ちゃんと二人きり。ギャン泣きされ、私も泣きたくなる。怖い。どうすればいいのかわからないし、壊れそうで、すぐに死にそう。もうすでに心が折れそう。
夫に泣きながら電話。「無理」を何回言ったかわからない。一人になると、授乳を拒否されてギャン泣きされた場面が脳内再生され、また涙が出る。夜、全然眠れなくなっている。
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