今日は助産師が訪問し、赤子と育児の様子を見てくれた。
このエリアを5年以上担当しているらしく、気さくで親しみやすい人で、ずっと喋り続けてくれる。すごく頼れる雰囲気で安心したのも束の間、母子手帳の日記部分を目の前で読まれるという公開処刑が始まる。あれには、症状や心情を赤裸々に書き込んでおり、「待望の赤ちゃん!とっても楽しみうふふ♡」みたいなキラキラしたものではなく、「なぜ女だけがこんな目に」「酒が飲みたい」「やってらんねえ」など、負の愚痴がふんだんに詰め込まれている。ただの記念と思って書いていたのに、まさか目の前で他人に黙読されるとは…。
案の定、「こんなにびっちり(愚痴を)書いている母子手帳はなかなか見たことないです! とっても文章がお上手ですね、本書けますよ!」と笑われながら褒められる。ちょっと嬉しい。けど、恥ずかしさがそれを上回る。
とはいえ、訪問助産師はとても頼りになる人だった。
地域に乱立している小児科の特色を教えてくれたり(『ここはゴッドファーザー、ここはゴッドマザーと呼ばれているわ』)、首座りのためのタミータイムのやり方をレクチャーしてくれたり(『泣き叫んでいるけどこれでいいの!』)、頭の形を整えるための枕の可否についてもアドバイスをくれたり(『気になるようなら昼間見ている時に使ってみたら?首が強くなると向き癖も治るわよ』)。知りたかったこと、知らなかったことをたくさん教えてもらった。
産まれた時は3.2キロだった赤子も、成長著しく、すでに4キロに到達。そういえば、重くなった気もするし、泣き声もパワフルになってきた。確実に成長している。生まれたての赤子は通常2週目からは1日20〜30gずつ増えていくのが目安らしいが、赤子は1日46g増えていた計算になる。そりゃあ、あれだけミルク欲しさに泣いていればな…。
あんなに「消化に悪いからミルクは3時間空けなきゃ!」と過敏に気にして夫婦喧嘩までしていたのに、助産師曰く「この子は体が大きいし、お通じも正常なら1時間や30分早まっても欲しがっているなら、ミルクをあげても大丈夫ですよ」とのこと。神の一言として胸に刻む。額縁に入れてベビーベッドのそばに飾っておきたい。
授乳についても相談。先日のオンライン相談ではどうもしっくりこなかったけど、今日の助産師は既にこの30分で絶対の信頼を築き上げてくれたので、「この人が言うなら従う!」という気持ちでアドバイスを受ける。
結論。「育児はママの笑顔が赤ちゃんにとって一番!ママが一番楽な方法が一番いい!」
…という鶴の一声を受け、「じゃあ直母しんどいから、搾乳とミルクを哺乳瓶で与えていこう!」と即決。単純すぎるが、豪快に決めたことでスッキリした。悩むのはやめる。決めたのは私。しかもお墨付き。
さりとて忘れてはならぬ相変わらず今日も通院。
赤子は車の移動で寝て、抱っこ紐でも寝て、鼻水を吸われるときだけ起きて、ホースを抜かれればすぐ寝る。看護師にも「大物になるね」と言われる。
診察時、処置する看護師は1名なのに、なぜか毎回4名ほどが交互に処置室へ入ってきて赤子の様子を見て去っていく。そんなに0ヶ月の赤子が珍しいのかと感心するが、まあ確かに普通は0ヶ月児は引きこもって然るべきで、1ヶ月健診も通常はお産した病院で行うことを考えると、予防接種が始まる2ヶ月児からが普段小児科で見かける赤子なのだろう。「可愛い」と言いながら去っていく看護師を見送りつつ、やはり我が子は生まれたての猿同然の顔立ちなので、「可愛い」よりは「小さくて尊い生き物」である認識は変わらない。
お産の仕組みが恐怖と理不尽すぎて、妊娠中はヒトの出産について生物学的に解説している本を読んでいた。曰くヒトは脳の発達を優先して頭を大きくしたばかりに、通常の手足の発達をしていたら二足立ちの細い骨盤の間からは出てこれなくなるらしい。そこで3ヶ月ばかり未熟なまま外界に出てくるとかなんとか(うろ覚え)。要は本来ならまだ胎内にいてもいいほど小さくてか弱くて何もできないということだ。そう思うとちょっとした拍子にすぐに途絶えそうな命に思え、妊娠や出産した時のしんどさも付加され、余計に尊いと思うようになった。貴重、希少、奇跡という感情にも近い。他にも赤子は一人では生きていけないため、周囲の大人に愛されるように三頭身・目が大きい・ふっくらしているといった特徴を備えているらしい。今のところ我が子は三頭身だけが当てはまる。だから可愛いという感情が若干薄いのだろうか。
出産してすぐの退院日にあれだけ苦戦したチャイルドシートも、せっせと通院していることでだいぶ慣れてきた。とはいえ、このチャイルドシートは買って大後悔している。アカチャンホンポの閉店セールに飛びついた夫が、事前リサーチもせずに勢いで購入したのだが、とにかくバックルがつけにくい。抱っこ紐のバックルはマグネットで「スチャッ」とはめられるのに対し、チャイルドシートのバックルは「あれ? どこいった?うーん紐が届かないなあ…カチッ…え? 入らないなあ…ズレてる? 」と無駄に手間取る。というわけで、買ってきた夫に全責任をなすりつけ、「私はチャイルドシートの着脱は担当外です」と宣言。
これにて、育児の戦略的分担がまたひとつ決まったのであった。
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