育児日記1ヶ月2日目「百貨店で可愛がられる」

育児日記

SNSを見ていると、我が子はイージーベイビーなんだと感じる。

ミルクとおむつで泣くが、それだけ。服のズレや室温の暑い寒い、掃除機の音がうるさいなどで泣くことはない。日中はちょっとかまってちゃんな節があるが、夜はすやぴぴ眠ってくれる。

朝は自宅で2回鼻水を吸う。

夜明け頃から鼻が詰まり始め、苦しそうに息をしていたので、入念に吸ってから病院へ。病院に行ったら家で吸いすぎたのか、全然吸引されなかった。もう通院は卒業してもよさそうな…。買い直した鼻吸機はさすが優秀だな。安心のピジョン。

病院帰りに内祝いを買いに百貨店へ。

初めて車で向かったこともあり、勝手が分からぬ駐車場で赤子を降ろすのにテンパった。次の車がすぐ後ろで待っているため、早く赤子と荷物を降ろしてどかなければならない。焦りながら、後ろの車の運転手の機嫌が気になる。「早くしろよ」と思っているに違いない。

とりあえず私は抱っこ紐を装着し、夫は赤子と荷物を降ろし、そそくさと車から離れる。

近くのベンチで赤子を抱っこ紐にセットして駐車場を出る。しかし、テンパリと不慣れが重なり、本来4箇所とめるべきマグネットバックルを2箇所しかとめずに歩き出してしまっていた。それに気づいたのは、店内のエスカレーターに乗りながら鏡を見た瞬間。一瞬で肝が冷え、心臓がバクバク。「もし歩きながら赤子の位置がずれて落ちていたら…?」と想像してしまい、急いで残り2箇所を装着。その後は怖くなり、ひたすら抱っこ紐の上から赤子を両腕で抱え続けた。

買い物中のアクシデントはそのくらいで、時間を調整したおかげか赤子は終始抱っこ紐の中でぐっすり眠っていた。車の揺れも好きだが、抱っこされながら揺られるのも好きなのかもしれない。

平日の日中だったこともあり、百貨店はぽつりぽつりと客がいるくらいでとても空いていた。夫がトイレに行っている間、何気なく商品を見ていると、年配女性の店員さんから「あら〜、かわいい! 小さいわねえ、何ヶ月?」と声をかけられた。

これまで病院以外の外出がなかったので、初めての”他人に赤子について話しかけられる”デビューである。

「ちょうど今日で1ヶ月です」

「あら〜、こんなに小さい子、久しぶりに見たわあ。孫はもう大きくなっちゃって。夜泣きは平気?」

「はは、まあまあです」

「頑張ってるわね。色々大変だろうけど、頑張ってね。それにしても可愛いわあ。よく寝ているわね、親孝行のいい子ね。ちょっといいかしら? 金子さんも赤ちゃん好きなのよ! 金子さん! 金子さん、赤ちゃんよ!」

「あら〜可愛い! 生まれたて? 貴重だわ〜」

「ね〜、本当に可愛いわ〜」

と、次々と店員さんが集まってきて、わらわらと赤子を褒め称える。けれど寝ている赤子を気遣ってひそひそと静かに盛り上がってくれる。

言われ慣れない私はおっかなびっくり固まりながら、「へへ、はは」と曖昧な笑みを浮かべて相槌を打つだけだったが、内心めちゃくちゃ嬉しかった。泣きそうになった。

SNSでは「一歩外に出ればおばさんに『靴下履いてなくて可哀想』『こんなに小さい子を連れ回すなんて可哀想』といちゃもんをつけられる」とよく言われるため、正直話しかけられた時はかなり身構えていた。

しかし実際には、ただただ小さき者を愛でたいおばさま方が、寝ている赤子を見守り、ひたすら褒め称えるという、なんとも平和な話でしかなかった。突拍子もないが、イメージとしては「森で木苺を摘んでジャムを作り、パンケーキを食べる」のと同じくらいにほっこりする。伝わるかこれ。まあ、百貨店の店員さんという立場も関係しているのだろうが、それでも、見知らぬ人に出産と育児を労われ、大して可愛いと思っていなかった赤子を存分に褒めちぎられるのは、やぶさかではなく、最高に気分が晴れた。来てよかった。

夫がトイレから戻ったため、その場を離脱してしまったが、ぜひ夫にもこのシーンに立ち会い味わってほしかった。確実に親としての肯定感が爆上がりする。テンションが上がる。

百貨店から帰る際、段々チャイルドシートがきつくなってきたことに気づく。帰宅後、もう一度ベルトを調整しよう。

今日は抱っこ紐で出かけたものの、やっぱりベビーカーの方が着脱は楽だなあとしみじみ思う。でもベビーカーでは狭い通路は通りにくいし、フロアの移動もいちいちエレベーターに乗らなければならず不便ではある。抱っこ紐は肩と背中に負担がかかるが、赤子を直に感じられて安心感はある。どっちも一長一短だなあ、と思いながら帰路についた。

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